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企画概要
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茄子の魅力
アニメ化エピソード『アンダルシアの夏』とは……
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企画意図
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自転車の魅力を多くの人へ
・企画概要
企画・製作 マッドハウス
プロデューサー 丸山 正雄(マッドハウス)
原作 黒田 硫黄『茄子』より
(講談社『アフタヌーン』連載)
監督・脚本 高坂 希太郎
「耳をすませば」(作画監督)
「もののけ姫」(作画監督)
「千と千尋の神隠し」(作画監督)
「マスターキートン」(キャラクターデザイン)
・『茄子』の魅力
講談社・月刊アフタヌーンに連載されている『茄子』という作品をご存知だろうか? 茄子をキーワードに展開する様々な物語を、基本的に一話完結という形式で描くという 一風変わった作品である。
作者は黒田硫黄。独特の画風と、軽妙にして深淵な作品世界で熱狂的なファンを獲得し、 支持を広げている漫画家である。
その茄子の第5話。第6話にまたがって描かれているエピソードが『アンダルシアの夏』 である。作者自身の趣味である自転車レースとスペインの茄子料理・茄子のアディジョ 漬けをモチーフとした本編は、シリーズ中でも異色にして斬新、最も人気を得た物語のひとつである。
アニメ化エピソード『アンダルシアの夏』とは……
物語は太陽照りつけるアンダルシアの荒野から始まる。
そこを列をなして走る200台の自転車の一群。
色とりどりのレーシングジャージに身を包んだ選手たち……ベルタ・ア・エスパーニャ 3週間かけてスペインを一周するこの自転車レースは、ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリアと並び、世界3大ツールと称される。その華々しいステージを走る選手たちの中に、本編の主人公・ペペ・ベネンヘリがいた。
勝利に恵まれず、解雇の可能性が農耕となっていたぺぺ。そんな心配を抱えつつも、彼はプロとして与えられた仕事に没頭する。
コースはやがてペペの生まれ育った村へとさしかかる。村の教会では、ペペの兄・アンヘルの結婚式が行われていた。新婦はかつてペペが好きだった人……。
と、そこで突然レース状況が一変する。後続で事故が発生し、突如ペペに勝利のチャンスが舞い込んだのだ。
決して高くないその可能性にかけ、ペペは必死にペダルを踏み込む。全ての思いを込め、ただひたすらに……。
それは勝利のためか? 生まれ育った土地を離れ、ただひたすら遠くへ行くためなのか?
・企画意図
主人公・ペペの視点から描く自転車レース"ベルタ・ア・エスパーニャ"。 そのビジュアルの雄大さもさることながら、コースレイアウトをにらみ練り上げるペース配分、アタックをかけるタイミングの探りあい、そしてライバルの温存する体力の削りあいと、騙し合いと駆け引きに満ちた自転車レースの展開は、それだけで一級のドラマである。
その魅力を余すことなく伝えてくれる『アンダルシアの風』は、そこにさらにもう一つのドラマを盛り込むことで、より素晴らしい作品へと昇華させている。
ペペが自分の村を通過する時、同時に行われているかつての恋人と自分の兄の結婚式。
その特殊な環境下で芽生える生まれ育った街に対する反発。
そして、それとともに茄子のアサディジョ漬けを通じ、故郷への未練も垣間見える……。
自転車レースと、故郷への反発と執着という二つのドラマを見事に描ききり、巧みな人間表現を成立させているこの物語は、見るものを惹きつけ作品世界に引きずり込む。
挫折する人、悩む人、成功した人、過去を振り返る人、未来を夢見る人……。 こま作品はあらゆる人間の共感を生み、勇気付け、癒すことができるのである!
・自転車の魅力を多くの人へ
近年、自転車が流行の兆しを見せ始めている。
自転車先進国のヨーロッパ各国では、自転車レースはサッカーと並んで人気のスポーツであり、野球やバスケなんて二の次、三の次なのである。また、観戦するだけではなく、娯楽としてのサイクリングから、スポーツとしてのレースまで、自転車は長らく彼らの生活に根ざし、親しまれているのである。
さらに、最近では環境問題への関心の高まりから車に変わる交通手段として注目され始め、自転車専用レーンの建設や、地方自治体による優遇政策をはじめ、街によっては市内への車の進入を禁じ、個人の移動は自転車に限るというところまである。
そんな世界的潮流の中にあって、自転車後進国であった日本にも変化が訪れようとしている。
街中でマウンテンバイクやロードバイクといった、いわゆるママチャリとは一線を画するスポーティーな自転車を見かける機会が断然と増え、自転車屋の新規出店も相次いでいる。
レース人口も年々増えており、ついには世界最大の自転車レース「ツール・ド・フランス」に出場を果たした日本人ま出てきたのである。
では、何故それだけの人間が自転車に魅せられ、熱狂するのであろうか?
簡単である。自転車が面白いから、人を惹きつける魅力を持っているからだ。
自らで力で進み、風を引き裂き、風景が後方へと流れていく。そのスピードとの一体感を得られる道具は、自転車のほかにないからなのだ。
今、その魅力が徐々に日本でも理解されようとしている。
そう、時代の風は今、自転車にふいている!
そしてアニメーションへ
この物語の見どころはアンダルシアの美しさと、そこで躍動する自転車の雄雄しさ。そして、人間の表情や仕草に垣間見える微妙な心情表現である。
それらを最高のアニメーションとして表現するには高度なテクニックとセンスが必要であり、その両方を備えているのが「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「マスターキートン」などの数々の名作を手がけてきた高坂希太郎である!
さらに、アニメーション制作は「メトロポリス」「マスターキートン」「陽だまりの歌」と常に高品質な作品を世に送り続けるマッドハウス。
この両者によって、今、鬼才・黒田硫黄の作品世界に動きと音が加えられようとしている。
その行き着く先は……誰もまだ目にしたことの無い、素晴らしい映像であることは間違いない。活目して待て!
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