皆さんこんにちは。 今日お話する夢は、ヒラオくんが木の実ナナと戦った夢です。 「ヒラオ君」というのはいまユーフォーテーブルで監督をやっている男で、 自分とはマッドハウス制作の同期だった縁で、今も仲良くしています。
この話はよくひとに話すので、 マッドの社内の方なら聞いたことのある方もいるかもしれません。 あれはもう4、5年前のことでしたか…。
自分は平尾くんと共に、デパートの広場のような場所で行なわれる集会に参加しています。 そこには20〜40代くらいに男女がひしめき合っていました。
会がスタートします。「まずは男性の方。」司会の男性がこう切り出しました。 「イケていきたい人―!!」
場内はざわめきます。イケていきたいかどうか…!?考えたこともなかった…。 そうして間もなく、幾人かが手を上げます。私も手を上げました。 イケていきたがっている自分を否定することはできない…そう思ったからです。 そんな私をヒラオくんは「あーあ」という顔で眺めています。
次に女性に対して同じ質問。「イケていきたい人―!」 …するとスッとひとりだけ手が上がりました。 その唯一の女性こそ木の実ナナでした。
平尾くんは爆笑しています。彼は私に、 「君はああいう人に対して『イケていきたい』って宣言したんだよ」などど言います。
そうして、笑いの収まらぬ平尾君はさらに、ヒョコヒョコと木の実ナナに近付き、 「ねえ肌黒いよー?ねえ肌黒いよー?」 とからかい始めました。
しかしその時です。木の実の瞳がギラリと光りました。 私は、あぶない平尾くん!と声をかけようとしましたが、時すでに遅し、
シャッ! と木の実の右手が一閃すると、平尾君の頬からは、滂沱と血が流れ始めました。 木の実の仕込みカミソリです。彼女は、のたうちまわる平尾君を冷たく見下ろします。
愕然とする私の前で、平尾君は頬から血を流しながら、こう絶叫しました。 「こんなのアリなんスかァ!!」 その目は私にこう訴えていたのです。 「ナシだと言ってくれ」 「木の実、そりゃナシだよと言ってくれ」と…。
しかし彼の醜い有様を正視できない気分になっていた私は、 木の実の蛮行への怒りも手伝って、ついこう叫んでしまったのです。 「いいかげんにしろよ!お前ら!!」 …呆然と私を見る平尾くんの目に、みるみる哀しみが拡がっていきました・・・。
この夢を思い出すたびに、 「俺は平尾くんを何だと思ってんだろう」という気持ちになりますが、 まあこんな夢を見たくて見たわけでなし、いわば私も被害者です。 だから勘弁しておくれ。平尾くん。
刺客データ3:ヒラオくん
そんな平尾くんも先日結婚し、私と嫁はその婚姻届に証人としてサインしました。 彼の奥さん含め4人で食事したその日は大変に楽しく、そして同時に、「制作机でダベっていたときには、こういう未来が来るなんて想像もしなかった」と思いました。そして私は、「こういうことがあるから、人生は面白い」と、少しも大袈裟でなく思ったのです。それにしてもこの夢はひどいよな。いやあごめんねー。