「?」となる私。荒木先生という物言いは、まあ普段の彼も時々やりますが、質問内容が不明です。どうやら彼が聞いているのは、学校の机に対して、形やら色に好みはないのか、ということらしいですが、正直、私にはそんな机の好みなんてありません。ていうか、まあよく見りゃちょっとパイプの位置関係が違うやつとか、板の部分が薄いやつとかあるけど、結局机なんてみんな一緒じゃん、と思っていました。
しかし彼の聞き方は「当然あるよね、好みくらい」という雰囲気でしたので、ここで「ない」と答えるのは恥ずかしいというか、まるで「当てがわれたものを何の疑問もなく受け入れる、こだわりのない男」と思われるようで悔しいので、私は何とかして「それなりのこだわり」を演出する必要に駆られました。そうして私が答えたのが次のような内容です。
「机のタイプの違いは、俺はそんなに気にならない。でも、板の部分のキズのあるなしは、板書の精度に影響してくるから、いつも気にしてる」
とまあそんな感じでした。どうよ。少なくともノートにこだわってるしね。見事に「一味違う男」を演じることができた…。そう悦に入る私に、次にツネマツくんが言ったのは、さらに意外な言葉でした。
「えっでも左上塗りつぶすとき、Aタイプのが良くない?」 |