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荒木哲郎の夢と26人の刺客
■刺客その8 『 水風呂の極意 』

皆さんこんにちは。つーかごめんなさい、1年近くサボリました。そんな私が今回また書こうと思った理由は二つあります。

ひとつは、多くの方に「書かないんスか」「読んでますよ」と言って頂いたこと。…いや、多くもなかったかな。…うん。いま数えてみましたが、3人です。ごめんなさい見栄を張りました。まあでも言ってもらってやる気出したのは事実です。そしてもうひとつが、他でもない今回のテーマである「水風呂の極意」を、皆さんにお伝えするためなのです!

…何だそんな事かと思わないで。近年これほどまでに私に衝撃を与えたものは無いのです。今日は皆さんに私の会得した「荒木メソッド」をお伝えしてしまいます。メモの用意をして読み始めて下さいね!

水風呂、と聞いて皆さんはどんなイメージを抱くでしょうか。…おおかたの人にとっては、銭湯や、サウナのある公衆浴場の片隅に設置されている、寂れたちっぽけな水たまり、といった印象ではないでしょうか。絵にするとこんな感じです。

正直つい最近まで、私にとっても水風呂とはこのような存在でした。あってもなくてもいい、背景にすぎない場所。ところが現在、同じものが私にはこう見えています。

さながら黄金郷(エル・ドラード)です。まさに、めくるめく快楽の泉。あの全身を駆け巡る全能感たるや、それと多少でも比較に値するのは母親の胎内、羊水の中ぐらいしか私には思い当たりません。

学生時代読んだ村上龍の本で、19歳の主人公が「サウナと水風呂の繰り返しがこれほどの快楽をもたらすことを俺は初めて知った」とか言ってるのがあって、(どの本だか忘れました)いつか自分もその境地に辿り着きたいと私は常々思っており、水風呂を見つけては「今度こそ」と挑戦してきましたが、しかし何度試みても水風呂は私に快楽をもたらしてはくれず、ちくしょう、龍はハタチ前で会得したのになんで俺にはできねえんだ、と苛立っていました。しかし、20代を終え32歳を迎えた今年、不意にそれはやって来たのです!

出来てみてわかりましたが、これには幾つかのコツがある。皆さんは多分、これを読んだらすぐに銭湯に走り出してしまうと思いますが、その時にこれから教える「3つのポイント」を、必ず守るようにして下さい。いいですね?

さてじゃあ、早速ですが先に結論からお伝えしてしまいましょう。メソッドの基本は
「温100冷100・温200冷100・さらに温200冷200」
です!これで最後の200で来ます!数字は秒数、温は温風呂で冷は水風呂です。
つまり温風呂と水風呂の往復の、3ターン目でそれはやって来るのです!

…ではポイントについて触れて行きましょう。一つ目はこちらです。

@温風呂は熱くなければ駄目!

このメソッドは、一にも二にも「熱いのを我慢する」のがスタートポイントですので、温風呂の温度が低いと、そのあと何をやっても駄目なのです。自分は「ゆ〜とぴあ」で試した際、2000円も出したにも関わらず、湯の温度が低いため失敗しました。「湯が熱い」を重視するなら町の銭湯です。450円以上出す必要はありません。いや、450円以上出してはいけないのです!

A水風呂は3ターン目までは「来ない」!

ここが私が嵌った罠でした。実は2ターン目まではあまり気持ちよくないのです。そしてどんなに長く浸かっても、2ターン目までは決して「来ません」。逆に2ターン目までをどんなに短めに切り上げても、3ターン目には「来ます」。短くていいから3往復する、というのがポイントなのです。

B鼻から冷気を吸いこめ!

3ターン目の水風呂に浸かった時点で、身体は今までと違う、全く新しい「何か」に目覚め始めていることに気付くでしょう。ここで私がわが師から伝授された「最強の秘技」をお伝えしましょう。わが師とは他でもない、私の妻です。彼女は私に先んじて、いちはやく水風呂道を究め、私を導いてくれました。その教えの究極奥義が、「鼻から冷気を吸い込む」ことだったのです。脳天を冷気を突き上げるように、強く吸い込むのだ、と…!

これがあなた、すごいんですよ。ちょっとどうかと言うくらい来ますよ。私は心の中で、この行為を「ブースト」と呼んでいます。この感覚を何かに例えるなら、最も近いのは、「2001年宇宙の旅」で、目の前でスターゲートが開いた時のボーマン船長、って感じでしょうか。私などは、身体を貫くあまりの快楽に、否応なしに顔がニヤけそうになり、それを隠すために、過剰に真面目な表情を作って固まっているくらいです。

これがその時の様子です。鼻からの深呼吸で、少しづつ「天使を引っ張りあげている」様子がわかりますね。こうなるといつまででも水風呂にいたくなってきます。そうして今日も私は、銭湯が閉まる時間を迎えるまで、水風呂で無駄に真剣な顔をし続けるのです…。

刺客データ8:水風呂の極意

刺客データ8:水風呂の極意

前回の禁煙の話から1年近く経過しましたが、無事禁煙は続いております。嫁も吸っていません。平尾くんや恒松くんとは、どちらも一回づつ、仕事を共にしました。友人と仕事するのは気分のいいものです。爆笑問題は、最近あまり聞いてないのですが、代わりに夥しい量の「深夜の馬鹿力」を貰ってしまったので、10年以上も前の分から聞いています。でも大好きだった当時の放送も、今聞くとピンと来なかったりしますね。時代のせいか、俺が年をとったせいか。当時お兄さんだった伊集院光も、今の自分にとっては年下なので、「そんなに無理して笑い取ろうとするなよ」とか思ってしまいます。そんな近況です。じゃあまたー。

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