第22話のイチオシ原画
22話からセレクションしたのは、カット121です。
後藤への奇襲は失敗に終わりました。敗北を悟ったミギーは、新一に向かって逃げるよう叫びます。
無我夢中で逃げる新一。足を滑らせ川に落ち、ようやくの思いで岩に登りますが、今はもう右手はありません。失った右腕を押さえて号泣する新一。その涙はミギーを失った悲しみなのか、それとも不甲斐なく逃げた悔しさからなのか――。
22話でミギーは初めて怒鳴り声をあげました。そして新一と友だちになれてよかったとも呟きます。第1話からは想像もつかない言動です。
本体から分離したミギーを孤独感がくっきりと大きく包み始め、彼は自分の死を悟るのでした。
第18話のイチオシ原画
18話からセレクションしたのは、カット139です。
第18話では、ついに田村玲子が死にました。
刑事達に発砲され銃弾を全身に浴びる田村玲子。胸に抱いた赤ん坊を守るために髪の毛で防御壁を作ります。新一に託されるまで、彼女の腕の中で赤ん坊は守られ、傷ひとつ負いませんでした。
田村玲子の最後は、人間以上に人間らしいものとなりました。
実はアニメ『寄生獣 セイの格率』の各話タイトルはそれぞれ小説の題名に因んでいます。第1話『変身』はフランツ・カフカの小説、第5話の『異邦人』はアルベール・カミュ、第18話『人間以上』はシオドア・スタージョンの同名小説のタイトルに由来しています。
最終回のアフレコも終わり、終局が近づいてきたアニメ『寄生獣 セイの格率』。
アニメ本編に興味を持たれた方は、各話タイトルが示唆している小説も読んでみてはいかがでしょうか?
そこもまた、アニメーションの複線となってますので、さらに楽しんで頂けること間違いなしです!
第15話のイチオシ原画
15話からセレクションしたのは、カット223です。
新一は夢のなかで骸骨のような化け物に会います。
異世界で背をかがめていた謎の生物は、新一の声に反応してのっそりと振り向きます。背を伸ばした体はずいぶんと大きく、人間とは異なる骨格にぎょろりと目玉だけついており、どこかミギーを連想させる姿でした。「ほう、化け物に見えるのか…でも人のことは言えないぞ。これを見てみろ」、その生物は新一に鏡を向けます。そこに映っていたのは、人間の姿をしていない新一の顔でした。
15話では、新一は広川達パラサイト集団を潰す決意をします。学校を走り去る新一の姿に、村野は新一の覚悟を見て取りました。探偵・倉森が恐怖から戦いを避ける一方で、新一はひとり孤独な戦いに身を投じていくのでした。
第13話のイチオシ原画
13話からセレクションしたのは、カット168です。
探偵・倉森志郎に自分の存在を気づかれたミギーは、彼を殺そうと試みます。しかし新一の抵抗にあい、腕から分離して単体で倉森を追いかけました。
二本足(?)で立つミギー。身体の軽さに慣れず、新一との距離を一考して追跡を断念しました。
容赦なく人間を始末しようとするミギー、あくまで人間を守ろうとする新一。徐々に打ち解けてきたようにも映る新一とミギーでしたが、改めて寄生生物と人間の価値観の違いを見せつけられる回となりました。最愛の女性へ真実を言えない苦しみはじわじわと新一を追い詰めます。
それにしても、足が生えたミギーもまたかわいいですね。
第12話のイチオシ原画
12話からセレクションしたのは、カット256です。
特別な能力でパラサイトの存在を探知できる君嶋加奈。加奈は新一と間違えて、食事中のパラサイトへ近づいてしまいます。そして、新一の目の前で胸を一突きされ、倒れました。
夢で見たように、新一に抱かかえられる加奈。その表情は穏やかで、新一と会えたことに心から幸せを感じているようにも映ります。
満ち足りた表情で新一の頬を撫で、こと切れた加奈。新一と出会った人生と、出会わなかった人生――どちらが加奈にとって幸せだったのか、周囲が推し量ることはできません。ここにもまた、加奈の「セイの格率」がありました。
自分の目の前で大切な人が殺され、新一の心はいっそう堅く閉ざされていきます。見ていてもとても辛い場面でしたね。