おぎにゃん
原画ってそもそも何だにゃん?
吉松
原画というのは、アニメーションの動きのなかでポイントとなる絵のことをいうんだよ。例えば、ひとつのアクションの動き始めや動き終わったときのキャラクターのポーズとかね。
おぎにゃん
パンチ! ってやったら、動き始めの、拳を出す前の構えと、動き終わりの、腕の伸びきった状態が原画なんだにゃ!
吉松
うん。そして、原画と原画の間の腕が動いている部分を動画というんだ。原画と動画は別々の人が描くんだよ。原画を描く人を原画マン、動画を描く人を動画マン、と呼び、用紙に絵を描いていく。原画と動画は同じ用紙を使っているんだ(※写真参照)。
おぎにゃん
でもなぜ動画と原画で分けるのにゃ? 基本は一緒なんでしょ?
吉松
アニメーションを作るうえで、役割が違うんだよ。原画と動画の分け方には様々な方法があるから一概には言えないけど、原画は主にキャラクターがどう動いていくのかを絵に起こし、動画はその動きをより滑らかにするという目的で描く。例えば、「おぎにゃんが道を歩いていて百円玉を見つけ、拾う」という動作をアニメーションにしたとするよ。おぎにゃんが、画面左から右へ歩いていくとして、まずポイントになる歩き始めの絵を原画マンが描くんだ。例えば、右足を前に出した状態のおぎにゃんを描く。右足の次は左足が前に出るから、今度は左足が前に出た状態のおぎにゃんを描く。
おぎにゃん
こんにゃ感じかにゃ?(※イラスト参照)
吉松
おぎにゃん絵が下手……。
おぎにゃん
見逃すにゃん!
吉松
イラストの1と2を繰り返すとおぎにゃんは歩いているように見えるんだ。だけどこれだけでは動きがぎこちないから、自然な動きになるように1と2の間に動き途中の絵を挟む。それが動画なんだ。動画の枚数が多ければ多いほど、なめらかな動きになる。そのように原画の間に動画を入れて「歩く」動作の繰り返しを描いたら、今度はおぎにゃんが百円玉を見つけて拾う動作が必要になるでしょう。それを、どういう姿勢になるのか、右左どちらの手で百円玉を拾うのかなどをまた原画で描くんだ。
おぎにゃん
おぎにゃん右手で拾うにゃ!
吉松
じゃ、かがんで右手を伸ばしたとしよう。そうしたら、今度はおぎにゃんが手を伸ばしてから百円玉をつかむまでの間の絵が必要になるよね。そこをまた動画が埋める、というような感じかな。
おぎにゃん
原画が点だとすると、動画は点と点を結ぶ線なんだにゃ。
吉松
そう考えるとわかりやすいね。一般的には動画の過程を経て原画になる人が多い。原画に上がるステップとして、動画でアニメーションのしきたりを学ぶんだね。もちろん「自分はこちらが向いているなぁ」と、動画に留まってずっとやっている、エキスパートみたいな人もいるよ。
おぎにゃん
にゃるほど〜。じゃぁ原画のエキスパートは?
吉松
原画は、そのパートを担当するアニメーターの個性が出やすいんだ。だから「この人の原画の表現はすごい!」みたいなことがよくあるね。
おぎにゃん
ほにゃ〜。
吉松
それと、「タイムシート(※写真参照)」を書くのも原画マンの仕事なんだ。
おぎにゃん
?? たいむしーと?
吉松
タイムシートとは、カット内の原・動画のタイミングや画面処理についての指示を書く用紙なんだよ。撮影シートとも呼ぶ。どの絵をどういうコマ数で撮影するのか、原画と原画の間に描く動画は何枚必要なのか、などを記入する。それをもとに動画マンが動画を描いたり、撮影をしたりするんだ。詳しいことは撮影の回に聞くといいよ。
おぎにゃん
にゃ! 原画マンは絵を描く以外にも忙しいんだにゃ。
(第2回後編に続く) |