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おぎにゃんと学ぼう! アニメの作り方
■第7回 シリーズ構成とはなんぞや??(中編)

おぎにゃん
原作ありとなしでは、構成の作り方って変わるのかにゃ?

金春
脚本の回でも言ったけど、『NANA』は原作を尊重するって決めているので、シリーズ構成も原作の流れにそうように作っているよ。『だぁ! だぁ! だぁ!』は原作の話数が少なかったので、オリジナルの話をたくさん入れていた。ポイントになる原作の話を入れて、その間へオリジナルストーリーを挟んでいく感じでね。あと、シリーズの始めでは、各キャラクターをそれぞれ紹介する話数を設けたりとか。

金春さんのお仕事机にゃ!

おぎにゃん
原作がない場合は?

金春
私がシリーズ構成を担当した作品で、『双恋』(注6)という雑誌とゲームとの連動で企画されたアニメーションがあったんだけど、その作品のときは、作品の設定から考えた。シリーズ構成がかなり深い部分まで関わった例だと思うよ。

おぎにゃん
どんなことをしたのにゃ?

金春
登場する女の子たちの設定だけは始めからあったの。それで、プロデューサーから「萌え系にはしないで、普通っぽくお願いします」と言われて、じゃあ主人公はどうしよう、とか。舞台はどんな街にしようか、って考え始めた。原案に近いことをしていたんだね。

おぎにゃん
考えることいっぱいだにゃ。

金春
ゲームでは双子が6組登場して、そのうちの誰とくっつくかはゲームの進め方次第だった。でも、「普通っぽいアニメ」にするには、主役にする双子を絞らないとストーリーが組めないでしょう。だから、メインにする双子を2組決めて、残りの4組は直接の恋愛対象にしないようにしたよ。

おぎにゃん
プランを考えるときにタブーはあるのかにゃ?

金春
『双恋』のときは、途中の展開などはかなり自由にやらせてもらえたの。ただ、「最終的に主人公が誰かとくっついてはいけない」とか、「どれかの双子が別の双子の足を引っ張るのはやめて欲しい」っていう指示はあったよ。それぞれの双子に雑誌やゲームでのファンがついていたから、どの双子も悪くは描けないの。

おぎにゃん
うーん、展開が絞られるにゃぁ。

金春
だから、三角関係を描くときも、何かのカン違いですれ違うとか、タイミングが悪くてハラハラの展開に……! ってふうに持っていったの。誰かが意地悪で伝言を伝えないとかそういうのはナシで。

おぎにゃん
それは、キャラクターデザインができあがってから考えたのにゃ?

金春
女の子たちの絵は雑誌やゲームのものがあったから、少しだけ年齢とか変えつつその絵を見て設定を考えた。アニメ版のオリジナルキャラクターは、設定を作ってからプロデューサーがキャラクターデザインの人に依頼したよ。

おぎにゃん
原作がない場合の方が、シリーズ構成の担う役割は増えるんだにゃ。

金春
作品の制作スタイルや制作会社によって、ケースバイケースだから、一概にそうも言えない。『明日のナージャ』もオリジナル作品だったけど、シリーズ構成にかかってくる比重は軽かったよ。前編のラストで言った、「本読みに参加せず脚本のチェックにも関わらなかった作品」っていうのは、実は『明日のナージャ』なの。私の仕事は構成会議で出たアイディアや意見を文章にまとめることがメインだった。もちろん自分で出した意見も含めてだけど。

おぎにゃん
作品によってシリーズ構成をやる人の向き不向きはあるのかにゃ?

金春
っていうかね、萌え系の作品には萌え系のノウハウが必要だし、日常路線の作品には日常路線のノウハウが必要だと思うの。

おぎにゃん
も、萌え系のノウハウ!?

金春
うん。ターゲットの視聴者が興味を持つように、構成しないといけないからね。『双恋』の依頼がきたときには、「萌え系をやったことがない私になんで?」って、とまどったの。そうしたら、『タッチ』(注7)とか『めぞん一刻』(注8)とかの、80年代ラブコメ風で構成して欲しいってことだったの。

おぎにゃん
萌え系ではなくて?

金春
萌え系だったら、私よりも向いてて、うまく作れる人はいっぱいいるから。それで納得した。

おぎにゃん
金春さんの書く脚本やシリーズ構成を担当している作品って、ほのぼの系とか女の子向けが多い気がするにゃ。

金春
そうなの。なぜかそういうオファーばかりきて(笑)。

おぎにゃん
それって金春さんの得意ジャンルだと思うにゃ。

金春
テレテレ。

おぎにゃん
で、おぎにゃんは何を言いたいかというと、例えば『シュガシュガルーン』のシリーズ構成は吉田玲子さん(注9)にゃ。それで、脚本家もほとんど女性なのにゃ。そこには、何か男女の違いみたいのがあるのかにゃ??

金春
女の子向けの作品では、「シリーズ構成は女性で」というプロデューサーの要望があったり、脚本家に女性を多く集めたり、ということはある。監督が男性だと「脚本には女性の視点が欲しい」ということで、女性脚本家を集めて制作するケースもあるしね。

おぎにゃん
監督は乙女心が欲しいのだにゃ!

金春
もちろん例外はあるんだけど、一般的に女性の方が心情を細かく追う傾向があると思う。私も少女ものを依頼されることが多い。

おぎにゃん
女の子のハートはお砂糖でできているからにゃ。

金春
おぎにゃんは人間だか猫だかわからないから、……どうだろう。クスクス。

おぎにゃん
こ、金春さんがブラックにゃ!? おいらだって乙女心あふれる脚本をいつの日か書いてみたいにゃ〜!

 

 

第7回後編に続く
注6)テレコム・アニメーションフィルムによる双子づくしのアニメなのにゃ。みんな素敵で、お気に入りの女の子を決めるのに悩んじゃうにゃ〜。
注7)あだち充原作、グループタック制作の超有名アニメだにゃ! 思わずオープニングを口ずさみたくなるけど、諸事情により止めとくにゃ!!
注8)高橋留美子原作・スタジオディーン制作。おぎにゃんも響子さんみたいな素敵な管理人さんのいるアパートに住みたいにゃ!
注9)『彩雲国物語』でもシリーズ構成・脚本を担当中の、女流脚本家さんにゃ!!
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