■第9回 『続いて色指定のお話にゃ!』(後編)
おぎにゃん
色指定が色を作ることはあるのかにゃ?
橋本
それは色彩設計の人による。ある1話のなかでちょこっと登場するだけのスプーンとかコップなどの小物とか、原画を見ないとパーツがわからないものだと、時間的にも作業分量的にも色彩設計が決めるのは難しいから、「それは色指定に任せます」ってなったりする。はたまた、全ての色を色彩設計が作っていて、色指定はそれを指定していくだけという場合もあるし。
おぎにゃん
橋本さんの場合は?
橋本
自分は、各話のシーンカラーのメインキャラクターの色は、だいたい自分で作業するかな。なぜかというと、その色指定の人の感覚により過ぎる可能性があるから。そうすると、その人にお願いしたシーンや話数だけ、作品の雰囲気からずれてしまうこともあるからね。
おぎにゃん
でも、全部色彩設計が色を作っていたら、キリがなさそうだにゃぁ。
橋本
だから、メインキャラクター以外の人物、例えば街中を歩いている人たちなんかの色は色指定に任せたりする。
おぎにゃん
俗に言う、モブシーンってやつにゃ! ちなみに、色指定はどれくらいの作業ペースで仕事しているにゃ?
橋本
TVシリーズだったら、何班かに分けて話数を担当しているんだ。社内班が2〜3班あって、グロスで社外にお願いする分が2班あって、という感じだったら、だいたい5〜6週間後に次の担当話数がくる。
おぎにゃん
でも、作業自体は、2週間くらいで終わるのでしょう?
橋本
うん。だから、他の話数や作品と、平行しながらやるのがオーソドックスかな。
おぎにゃん
おぎにゃんのイメージでは、色彩設計や色指定の人たちは、絵を動かすよりも色に興味がある人たちが多いのかにゃ?
橋本
それ半分、絵が描けないから半分(笑)。
おぎにゃん
じゃあ、おぎにゃんもなれるかもにゃ!
橋本
絵は描けないけど画面作りに興味がある人たちや、アニメーション製作の入り口として仕上げに入る人たちが多いかな。あと、デジタルに移行する前は、セルにペタペタと色を塗っていたから「あの作業楽しそう」って思って仕上げを選ぶ人もいたよ。
おぎにゃん
やはり、色指定もデジタル化の前後で色々と変わったんだにゃ。
橋本
やはりデジタル化したことで、手作り感はちょこっと薄くなったかもね。
おぎにゃん
手作り感? ペタペタ塗る作業のことにゃ?
橋本
セル時代は、絵の具を水に溶かして塗っていた。だから、いきなり塗るとムラができちゃったりするんだけど、それが段々上手くなるにつれきれいに塗れるようになってくる。そういう「やっている感」みたいなものがあったんだ。
おぎにゃん
筆の毛束の感じを、工夫したりとか?
橋本
デジタル化で効率はあがったけれど、その手作り感が薄くなったことで興味を失ってしまった人たちがいるのも確かだね。
おぎにゃん
ほにゃ〜。ちょびっとせつないにゃあ。
橋本
あと、仕上げ全般は女性スタッフが多いんだけど、最近は男性も増えてきた、っていう変化もある。
おぎにゃん
それはなぜ?
橋本
多分、なんとなく昔から作画や演出は男性スタッフ、仕上げ系は女性スタッフというイメージがあったんだと思う。自分が入った頃は、男性の仕上げがほとんどいなかったし。やっぱ、そうなると男性はちょっといづらかったりするから(笑)、そんな感じで自然と住み分けがあったんだろうね。それが、最近は男性スタッフも増えてきた。
おぎにゃん
ちょっと興味深い話だにゃ。
橋本
それと最近は、仕上げ作業のほとんどは海外に発注している。これも昔と違う点だね。
おぎにゃん
じゃあ昔は全部社内で仕上げ作業をしていたにゃ?
橋本
セル時代は、一日に塗れる枚数が一人30枚くらいだったから、例えば3000枚セルが必要な作品を社内でこなすのは無理。だから国内の、ペイント専門で仕事を請けているところに頼んでいたんだと思うよ。あと、主婦の人たちがパート感覚で、ペイント作業していた時代もあった。どこどこの団地に持って行って!みたいな(笑)
おぎにゃん
なんか、おおらかな時代だったんだにゃ。
橋本
アニメの制作現場は時代とともに変化しているから、デジタル化したのならそれのメリットを最大限に引き出していくことが大事だね。
おぎにゃん
常に、前向き&臨機応変にゃ! これからも、素敵な作品をいっぱい作ってくださいにゃん!今日は橋本さんありがとうございましたにゃ〜。
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おぎにゃんが、アニメ修行を始めてはや、1年……。
いったい、いつになったら、アニメちゃんの称号を手にできるのかにゃ〜。
ハァ、道のりは長いにゃ……。
さてさて、次回は、美術の上原さんにお話を聞くにゃ〜。
その前にちゃんと耳掃除しとこうっと♪
それでは、皆さんまた再来週。バーイバイにゃん!