最新作『宇宙よりも遠い場所』への想い、目指すもの
―― 2018年1月からいよいよ『宇宙よりも遠い場所』のTVシリーズが放送開始されますね。
いしづか 『宇宙よりも遠い場所』は「宇宙」と書いて「そら」と読むんですよ。
―― 地球の果て「南極」を4人の少女が目指すお話だとか?
いしづか オリジナル作品というチャンスを頂いたので、どんな話にしようか沢山アイディアを出したんです。それで最後まで残ったのが今回のお話でした。
―― 女子高生4人組を描こうと思ったのはなぜですか?
いしづか 高校生活や、当時を一緒に過ごした10代の頃の友だちの存在というのは、すごく大きな経験として私の中に積み重ねられているんです。高校時代に一緒にいた仲間が、今でも1番仲の良い友だちだったりして。地元を離れて年に1回会うか会わないかですけど、お互いに友だちだと思っている。再会しても懐かしいって思わなくて、「近くにいなくてもいつでもそこにいて当たり前の存在」なんです。そういう仲間、心の拠り所になる生涯の友だちを見つける話。そんな友だち同士が一緒に頑張る話をやりたいと強く思ったんですよね。
―― 一緒に頑張って「南極」を目指す。
いしづか 彼女たちは、10代では普通経験しないような「南極を目指す」という大きなチャレンジをする。でも、本当に大事なのは南極に行くことではないんです。彼女たちがどういう経験をして、どんなふうに絆を深めていくかという過程が大切だったりするんです。なので、ティザービジュアルも冒険推しではなくて、女の子たちの素顔や性格が伝わるビジュアルをイメージしました。
―― カラフルでかわいらしいイラストですよね。4人の服の色は個性を現しているんですか?
いしづか それぞれのキャラクターのイメージカラーになっています。クラスメートでもなければ部活仲間でもない少女たちが、一緒に南極を目指すために、共同生活を強いられて、多感な時期に交わりあう。それぞれ個性が違うから、勿論ぶつかりあうことだってあります。でも、人生のほんの短い期間の旅を終えても、それから何十年先までずっと一緒にいられるソウルメイトになっていく。そんな絆を発見する物語なんです。
―― 心温まるお話ですね。
いしづか 高校時代に友だちを作るのが苦手な人も沢山いたと思うんです。でも、たったひとりでも口を聞いてくれた人がいたら、その人のことって永遠に忘れないじゃないですか。そういう学生時代特有の貴重な濃い経験。最後はね、泣きボタン連打で行きますよ(笑)。
―― 吉松孝博さんのキャラクターデザインもかわいいですよね。
いしづか めたんこかわいいです!
表情の幅がすごく広いキャラクターで、泣いたり笑ったり驚いたり、とにかくコロコロ変わる表情がとっても魅力的なんです。記号的ではない、非常に人間らしいリアクションを表現できるキャラクターデザインになっています。動いたキャラクターを見たスタッフもみんな「かわいい!」って喜んでいます。それと声優さんの演技もとても素晴らしくて表現豊か過ぎて逆に困ってしまうくらいです(笑)。
―― シリーズ構成・脚本の花田十輝さんとのタッグは『ノゲノラゼロ』に引き続きですね。
いしづか そもそもこの企画って、花田さんと一緒にやろうっていうところからスタートしたんです。雑談の延長から企画が生まれまして、私が「頑張る女の子を描きたい」って言ったらそこへ花田さんが色んなアイディアを出してくださって。
―― いい現場ですね。
いしづか 今回もこれまでの作品と同様に、「みんなで一緒に作品を作っていく」というスタンスはキープしていきたいと思っています。オリジナル作品なので、スタッフの意見の自由度が広がるんです。だから、どんどんやりたいことをやるチャンスだし、スタッフみんなに「自分がメインスタッフだ」っていう感覚を持って、どっかーん!とやりたいことを詰め込んで欲しいです。
―― いしづかさんの中には「みんなで作品を作る」というのが大きな軸としてありますね。
いしづか それはあります。自分としては作品を作るうえで一番大切なことだと思っています。
―― 今回はその想いを、オリジナル作品にぶつけた。
いしづか そうですね。関わっているスタッフの皆さんだけでなく、作品を楽しみに観てくださる全ての方々の心に残る、琴線に触れる作品にしていきたいと思っています。何年経っても音楽を耳にした時、アニメ本編の内容をフッと思い出して笑ったり泣いたりしてもらえるようなそんな皆さんにとっての素敵な作品になることを願っています。
―― 本編が楽しみですね。
いしづか ついに2018年1月2日から放送です!もう間もなくです!こたつでミカンでも食べながらぜひ見て下さい♪
第1回目 完
⇒第2回目 いしづか監督の原点 デビュー作『月のワルツ』「みんなで目指す」「みんなで作る」のがアニメーション