Interview
――お二人はこれからどういった作品に携わっていきたいですか。
増原 僕は正直なところ、オリジナルの作品をやりたいです。原作リスペクトの話を散々していたのに(笑)。
渡邉 オリジナルは、誰でもみんな一度はやりたいと思います。
――イメージはあるのでしょうか。
増原 いろんなパターンを考えています。1話完結もので、巫女さんがお悩みを解決していく話とか。宇宙を股にかけたスペースロードムービーで、迷いつつ答えのない答えを探していくような話とか……。
――キャラクターのドラマ主体の作品ですね。
増原 そうです。人間ドラマが中心で。舞台はSFでもファンタジーでもありだと思うのですが、いわゆる大河ドラマ的な群像劇ではなくて、もうちょっとパーソナルなものをやってみたいと思います。
――なるほど。これからのマッドハウスに期待することはありますか。
増原 今の話にも纏わるのですが、自社企画のオリジナルの作品を作って、IPをちゃんと持った方がいいと思っているんです。柱を作ったほうがいい。今(敏)さんは亡くなられてしまいましたし、未来の自社IPを担う人たちが本来いたはずなんだけど……。
渡邉 みんなマッドで育つけど、マッドの外でオリジナルやって、そこで売れていくから(笑)。でも、オリジナルができる土壌はあると思うんですよ。
増原 面白そうな企画があっても、実現するツテというかコネクションや手腕がないとね。そのあたりが、マッドハウス次世代に期待することです。あとは長寿作品ですね。一時期やっていたディズニーの『スティッチ!』とか『チーズスイートホーム』とか。今は配信も増えているし、5分枠でもいいと思います。そういうもののよさは、継続してこそなので。だいたいIPが育つ前に終わっちゃうんですよ。10年以上続けて初めて物になるみたいなことが最近増えているみたいだから。
細田(守)さんや今さんのような、作家性が強く出るものがマッドハウスの世間の認識だと思うので、そういうものもありつつ、もうひとつは企業としての底支えとなる何かを継続してやっていくべきだと思います。
――渡邉さんはいかがですか。
渡邉 若い人がチャレンジしたいと思えるような作品も、ちゃんとやらないと、と思います。
増原 お気に入りの原作で企画を出せばいいんじゃない。
渡邉 最近、社内で企画募集みたいなことが少ない気がしますね。
増原 それはこちらからも出していかないとね。「出しても無駄だ」となってしまったら最後ですから。あと、そこの嗅覚って難しくて。20代、30代の視聴層のための作品を、40代50代の人が判断しているからね。20代30代の社員の意見を、さらに汲み取ってあげてもいいんじゃないかなと。
渡邉 若い力を、会社に還元していけるといいなと思います。
増原 今までの50年を尊重しつつ、次の50年はより若々しいマッドハウスでありたいですね。