Interview
芦川 ただ、『AI』の制作作業をしていたときは、そんなふうに未来に思いを馳せて作っていたのですが、戦争があって……。
――そうですね。
佐藤 世の中がね……残念ながら。
芦川 テクノロジーの発展で人類が幸せになれば、と思うのですが。2015年に山田先生が原作を描かれた時には、テクノロジーが進むことによって、国家間の融和が進み、人種もジェンダーの垣根もない世の中になっていくだろう、と。そういう前提で描かれていたと思うんです。……今は分断が進んでしまっているので。現実が漫画に追いついて欲しいです。
――本当にそうですね。
芦川 アニメって平和じゃないと作れないものなんですよ。我々のエンタメ業界なんて、衣食住に比べたらなくても困らないものではあると思うのですが。だからこそ見てくださるお客さんを含めて、楽しくアニメを見られるような平和な世界じゃないと。
佐藤 戦争という手段を使って進化しようとするのは、やめてほしいよね。本当に何人(なにじん)とか言わないで、地球人でしょう。狭い地球なんだからね。
――今回山田先生からアドバイスはあったのですか。
芦川 あ、それはありました!
佐藤 超ご協力をいただいて。
芦川 こちらが恐縮するぐらい、クリエイティブで新しい提案を色々出して頂きました。そこまで変えて良いんですか?みたいな。佐藤監督が「こうしたいな」とおっしゃることに関しても、すごくノッて、一緒に作っていただいたんです。
佐藤 設定的なこともしっかりご教授いただいて、すごく助かりました。変な言い方ですけど、このアニメ版は山田先生にこそ楽しんでいただけると嬉しいなと思います。制作者としては感無量ですからね。