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Interview

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――監督と初めて組まれるという点で言うと、オープニングがサイクロンさん(サイクロングラフィックス)ですね。加藤(道哉)さんがコンテ、演出、VFX、編集をやられているようですが。

佐藤 近年のマッドハウス作品では見慣れた視聴者も多いかもしれませんが、自分は初めて組むんですよ。色々やってもらえたのですごく助かりました。

芦川 先ほどお話ししたように、個々人のエピソードが中心になってくるので、「未来世界はオープニングで見せられるといいな」と。なので、本編よりサイバーな感じなんです。

佐藤 CGの赤ちゃんはすごかったね。

――衝撃的でした。

(※注:赤ちゃんの詳細は本編をお楽しみに!)

佐藤 オープニングは加藤さんなのですが、エンディングは尾崎(智美)さんなんですよ。アナログチックな絵にして、あえて暖かさ推しにする。その対比が面白いかなと思って。

――なるほど。

佐藤 CGの違和感がいいんですよ。面白かった。細胞が妙に伸びていくところも含めて、キモさがかっこいいなと。

芦川 本編中のUI(※注:ユーザーインターフェース。ここでは各種サイトやモニター画面などの見た目のこと)やガジェットのデザインも全部加藤さんにお願いしていました。加藤さんもSFがお好きですし、原作もお好きと言っていただいて。

佐藤 ちょっと変わった作り方をしたので、だいぶご迷惑もおかけしたんです。本来ならレイアウトができてから「こういう作業をお願いします」という発注順序のはずなのですが、コンテ基準で発注したんですよ。

芦川 コンテの上がりが早くて、かつ監督のやりたいことや物量も分かりやすく出ていたので、いけるかなと。先方様もまとまってやっていただけて、よかったかなと思います。

佐藤 その素材を、あとからレイアウトにはめていく感じで。おかげでUIやガジェットはしっかり作り込めた感じがしますね。本来であればそんなこと絶対ありえないですから。その辺のスケジュールの仕切りは芦川くんの……。

芦川 いやいや佐藤監督が頑張ったんでね(笑)。

――(笑)。

佐藤 コンテが早く上がった要因は川尻さんと清水さんがダブルローテーションだったおかげですね。あの2人が入ってくれたから、修正はほとんどしなくてよかったし。本当に完成度が高いので、フィルムとしてどの話も見応えのあるものにしてもらえています。

――清水さんは「マッドハウスといえば」なクリエイターの一人だと思うのですが。

佐藤 ええ。そう思います。

――今回はキーレイアウトとの役職で参加されていますね。

芦川 オムニバスの作品でもありますから、美術設定では、毎回出てくる場所やその話数で必要な設定を作っていく必要があるんです。でも、その世界を見せないといけないとなると、町全体を作らないといけないので。ある程度清水さんにお任せしたんですね。

佐藤 設定発注をしないまま、コンテから清水さんがブラッシュアップしたレイアウトを作って、それをまた背景の方に出してという作り方をしました。

――では、美設とは別にそのかたちで決め込まれた背景もあるんですね。

佐藤 そうです。世界見せの引いている遠景は、大半設定がないから清水さん行きです(笑)。

芦川 監督のイメージボードがあって、そこから清水さんをはじめ、皆さんの未来感を足していただいたんですね。

佐藤 清水さんに「好きにやっていいですよ」と言ったら、楽しんで描いていらっしゃって。僕が描いたラフボードよりも、アドリブを入れてもらえた絵になっていて。すごく面白かったですよ。

――作品を拝見すると、スペシャルな感じのするカットが、同時にグッとくるポイントになっているようにも思えたのですが、そのあたりは狙いでもあったんですね。

芦川 原作を読んだときに大事にしたいポイントが、私にも佐藤監督にもあったんです。そこはちゃんと押さえたい。しっかりした世界観でやりたいとは言っていたので。それが見ているお客さんに伝わるといいなと思ってやってはいます。


佐藤雄三:監督/絵コンテ
サンリオ、スタジオぎゃろっぷ等を経て、マッドハウスで活躍中。代表作に『YAWARA!』(作画監督)、『MONSTER』(絵コンテ、演出)、『闘牌伝説アカギ〜闇に舞い降りた天才〜』、『逆境無頼カイジ』シリーズ(いずれも監督)などがある。近年では2022年1月放映の『ハコヅメ』で監督を務める。

芦川真理子:プロデューサー
2008年マッドハウス入社。『はじめの一歩』、『HUNTER×HUNTER』等の作品で制作としての経験を積み、デスク、設定制作、アシスタントプロデューサーを経て2022年1月放映の『ハコヅメ』からプロデューサーを務める。